北海道移住百年の記
道産子の著者が祖先の足どりをたどる。人間味あふれる視点と正確な記述で読者を惹きつける作品で、本文の文字が大きく読みやすい。かつて酒好きの父が祖母の死をきっかけに断酒して“仏の新平さん”と呼ばれるようになり、郷土誌発刊にも尽力した。著者もまた、本書をまとめることで個人的な過去を北海道開拓史として積み上げた。写真や資料が添えられた堅実な編集で、北海道の生い立ちと先人の思いが凛と語り継がれている。
悠久の流れ(II)―白土氏史―
十年前に出版した「悠久の流れ」の改訂版。白土氏の誇り高き精神を敬い、歴史像を探り続けている筆者の労作である。本書の記述は平安時代・桓武天皇の即位に始まり、江戸時代までが丹念にドラマチックにまとめられている。一族の思いの根拠となる歴史的事実を求めて菩提寺の過去帳や数多くの歴史資料を調査したうえに、歴史物語のように読みやすく整理されている。一族の子々孫々はもちろん、多くの歴史ファンに愛読されるだろう。